既刊本のロングテール化。
僕が編集部を運営するにあたって
重視している数字のひとつが「既刊本の売り上げ」である。
既刊本とは、(当社では)昨年度以前に
刊行した書籍のことを指す。
一方、当年度の書籍が新刊本だ。
既刊本の売り上げで安定した利益を生み出すことは
編集部の運営上非常に重要であり、
それは編集部の生命線でもある。
既刊本の売り上げは編集部の売り上げ全体の中で
ロングテールの部分にあたる場合がほとんどだ。
もちろん新刊が「頭」の部分になる。
たいていは一部の売れている新刊が
ほとんどの――ときにはすべての――利益を生み出し、
既刊本のマイナスを補っているというケースが多い。
この既刊本のマイナス部分をロングテール化させて
いかに利益を生み出せるかは、もちろん「商品の強さ」にもよるけれども
インターネットを使ったマーケティング活動の果たすべき役割が大きい。
そして断言してもいいが、
インターネットをうまく使えるか使えないかは
編集者の重要なスキルに間違いなくなってくる。
実感としては、すでにそうなりつつあることを強く感じるし、
かなり危機感を持っている。
間違いなく、もうアクションこそが必要な段階だ。
書店で派手な露出を得られる新刊と違い、
ロングテール商品をアピールしていくには
「読者となってくれそうな人たち」に直接
アプローチしなければいけなくなる。
こうしたことは、出版社をはじめマスコミといった
従来型のメディアを手がけてきた集団にとって
もっとも苦手なことである。
しかしインターネットを使って個人が
情報収集と商品の選別を行う時代においては、
「情報をいちばんもっている人」、
つまり作り手である編集者が
直接に消費者とも向き合うべきだろう。
そうした活動を通じて、編集部の売り上げ構成を
従来の「新刊依存型」から
新刊と既刊のバランスがとれたロングテール化に
移行させていかないといけない。
そうでないと、常に新刊本の売り上げで
既刊本のマイナスを補わなければならなくなり、
完全な「自転車操業」に陥ってしまう。
自転車操業の先にあるのは、自滅である。
幸い、2年前に立ち上げたクリエイティブビジネス編集部は
優秀な企画マンである仲間たちと社内関連部署の人たち、
そして優秀な著者陣や外部スタッフの力で
新刊と既刊本の売り上げのバランスをいいかたちで
保つことができている。
でも、まだまだ「伸びしろ」はあるし、
できていないことも多いはずだ。
既刊本を「資産」にできるか、「負債」に貶めるのか・・・・・・。
編集者ひとりひとりが自分が担当した商品に対して
「いま、何ができるのか」を考えていきたい。
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