できるだけのことはした。それでよいではないか。忘れたまえ。
浅田次郎「中原の虹」全四巻を読了。
馬賊時代の張作霖が主人公なのは間違いないが、
エピソードとして述べられていた
礼親王代善(ダイシャン)にも惹かれました。
また、袁世凱のダーティーヒーローぶりは
一本まっすぐな筋がとおっていて
どこか憎めないものを感じる。
以下、読中にこころに残った言葉たち。
「できるだけのことはした。それでよいではないか。忘れたまえ」(「中原の虹(4)」より)
深いですね......。こんなふうに言ってみたいものです。
この国に較べれば、地球上のどんな文明国だって野蛮なんだ。その蛮族どもが、たまたま蒸気機関と大砲を持っているというだけで、このうるわしい大輪の華を摘もうとした。
人類の力とは何だ。軍艦でも大砲でもあるまい。そんなものは人間が猿から進化して、何かの拍子に手に入れた、取るに足らぬつまらないものだよ。
音楽のような言葉。絵画のような文字。優雅な所作。山海の珍味。香りたつ茶。瑠璃色の瓦。胡同(フートン)の迷路。
そうした財産に較べれば、軍艦や大砲や飛行船は、珍妙な発明品にすぎまい。幸福のためになくてはならぬものと、幸福のためにはないほうがよいものとのちがいだよ。
人類は力の真価を見誤まった。人間の実力をはきちがえてしまった。(「中原の虹(4)」より)
西洋文明との対比において
中華伝統が有する力を語るこの文章には、
もしかして中華文明の美徳が
ほぼすべて詰まっているのではないかという感じさえします。
艶(つや)がある文章とでも言うのでしょうか。
生きとし生くる者みなすべて、歴史を知らねばならぬ。なるべく正しく、なるべく深く。何となれば、いついかなる時代に生くる者も、みな歴史上の一人にちがいないからである。では、いったい何ゆえ歴史を知らねばならぬのか。おのれの歴史的な座標を常に認識する必要があるからである。おのれがいったいどのような経緯をたどって、ここにかくあるのか。父の時代、父祖の時代を正確に知らねば、おのれがかくある幸福や不幸の、その原因も経緯もわからぬであろう。(「中原の虹(4)」より)
歴史に興味をもつのは、
一所懸命に生きることを考える過程において
しごく自然なことだと伝えてくれている。
けっして単なるオタク心ではないよと
さて、満州を舞台にした物語としては
船戸与一の「満州国演義」も挙げられるが、
両者のおもむきはまったく異なる。
広大な大陸にひとつずつ鋲を打つかのように
綿密な取材をベースにした
細かなエピソードを積み重ねていく
「満州国演義」に対して、
この「中原の虹」はより叙情的な印象だ。
言ってみれば演歌ですね。
泣きどころでは
しっかりと泣けます
僕としては「満州国演義」のほうが
昭和史モノとしてはスリリングで愉しめますが、
ひとつの物語としては「中原の虹」も
魅力的でどっぷりハマれました。
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さらに続編も待ってま‾す。
壮大な歴史ロマン・・・


西太后亡き後の世界
大丈夫だろうか・・・・・・




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